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職業詳細
飲食店を開業するための準備や資金について詳しくご紹介しています。他にも飲食店の開業に必要な資格や届け出、独立開業するために必要なスキル、開業を成功させるポイントなども解説します。いつか自分のお店を持ちたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
飲食店はどうすれば開業できる?
自分のお店を持つことは、大きなチャレンジです。いざ飲食店を開業しようと思った際に、何から始めればよいのか分からないという方が多いのではないでしょうか。飲食店の開業には様々な準備が必要になります。開業までの手順や注意点について項目別に詳しくご紹介していきます。
飲食店を開業するための準備
飲食店を開業するために準備が必要なものについて、各ステップに分けて確認していきます。
コンセプト設計で準備すること
コンセプトとはお店のメニューはもちろん、外観、内装、サービス内容など、全ての基本となるものです。どのような雰囲気のお店を目指すか、どんなメニューやサービスを楽しんでもらいたいかなど、最初にコンセプトをしっかりと固めることでお店の魅力や強みをアピールする手段が明確になります。
コンセプトを決める際には、ターゲットとなる客層やメニューの価格、お店の名前、立地、外装、内装、営業時間のほか、スタッフの人数やマニュアルなど、お店全体の要素を踏まえて考えていきます。コンセプトが定まれば、メニューや使用する食器などもイメージしやすく、従業員を雇用する際にも、どのような考えや雰囲気を持っている人を採用すればよいかなど、開業のための検討事項もスムーズに行えるというメリットがあります。まずは「こんなお店にしたい」という思いをベースに、大きなコンセプトを決め、徐々に具体的にしていくことがポイントです。例えば、よく使われている「5W1H」(When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・What(何を)・Why(なぜ)・How(どのように))を活用して、どのようなメニューを、どのようなお客様に、どんな風に提供したいのかを考えていきます。
また、自分の思いやアイデアに加え、ライバル店や今人気のスポット、サービスをチェックし、コンセプトづくりの参考にすることも大切です。
コンセプト設計はすべての基点になります。しっかりと考え、固めてください。
物件選びで準備すること
物件選びは飲食店を開業する際に、最も難しく、最重要な要素といえるでしょう。物件によってそれぞれ特徴があり、望む条件をすべて満たしている物件に出会うことは非常に難しいでしょう。所在地、立地条件、広さ、階数、賃料など、物件選びの際に、絶対に譲れない点や妥協できる部分はどこかを明確にしておきましょう。
飲食店の物件には「居抜き物件」と「スケルトン物件」があります。「居抜き物件」とは、以前に飲食店として使用されていた物件のことで、床や天井、壁などの内装、厨房施設など、前のお店の主要設備が残っている状態の物件のことをいいます。物件によっては床、壁、天井、厨房などの一部の設備だけがあるというケースもあり、そういった物件は「一部居抜き」などと呼ばれます。
「居抜き物件」のメリットは、そのままの状態で比較的すぐに開店できることです。内装などがイメージに合い、厨房が問題なく使える場合は、居抜き物件は初期投資を抑えることができるという大きなメリットがあります。ただし、居抜き物件の中には経営がうまくいかずに閉店したものもあり、集客が難しかったり、イメージが良くないケースもあります。仲介してくれる不動産会社に、以前入っていた店舗の情報などを確認してみてください。一方、「スケルトン物件」とは、内装や厨房機器などが何もない、建物の躯体だけの状態の物件のことをいいます。内装や設備などにかかる資金は「居抜き物件」と比べると、多くなりますが、自分のこだわりを表現でき、イメージ通りのお店を作ることができる点が最大のメリットです。
物件を仮押さえする際には施工業者に同行してもらうことがポイントです。希望の内装工事ができるかどうかをその場で判断してもらえるためです。内装・外装工事、厨房機器の手配など、様々な準備を考えると開業予定の8〜10ヶ月前には物件の契約は済ませておけると安心です。開業準備中の家賃の支払い期間が長くなると負担が大きくなるため、不動産会社に事前に確認しましょう。
資金調達で準備すること
飲食店を開業するうえで、大きな不安を感じることが多いのが資金の問題ではないでしょうか。開業にはどの程度の自己資金が必要で、どの程度の資金を調達しなければならないのかを詳しく見ていきましょう。
飲食店の開業に必要な資金は、飲食店の種類や規模によって大きく異なるものの、1,000万円前後といわれています。内訳として、300万円前後を自己資金として用意し、それ以外は銀行などの金融機関から融資を受けて準備する方が大きな割合を占めているようです。ただし、あくまでも1,000万円は最低限の目安であり、店舗の立地や家賃、内装や外装へのこだわりなど、条件によってはさらに多くの資金を準備することが必要になります。また開店資金だけではなく、すぐに日々の運転資金が必要になってきます。ぎりぎりの金額で開業するのではなく、開業後の運転資金を含め、ある程度の余裕をもって開業するようにしましょう。
飲食店を開業する際には、助成金や補助金が利用できる場合があります。国や自治体の制度を確認してみてください。
資格取得・届出申請で準備すること
飲食店を開業する際に必要な資格と届出申請について見ていきましょう。
まず、飲食店を開業するときに必ず必要なものが「食品衛生責任者」という資格です。さらに、場合によっては必要となる資格に「防火管理者」があります。
食品衛生責任者
食品衛生法の「公衆衛生上必要な措置の基準」に基づき、飲食店の従業員のうち、必ず1名以上が食品衛生責任者の資格を持つ必要があります。食品衛生責任者は店舗の衛生管理やスタッフの衛生管理指導を行います。各都道府県にある保健所で講習を受け、資格を取得します。講習はおおむね1日程度で、受講料は1万円前後が目安です。
防火管理者
防火管理者は、店舗の収容人数が30名以上になる場合に必要となる資格です。店舗の延べ面積が300m²未満の場合は甲種防火管理者または乙種防火管理者、延べ面積が300m²以上の場合は甲種防火管理者が必要になります。消防署などで講習を受けて資格を取得します。講習は1日〜2日間、受講料は7,000円〜8,000円が目安です。
次に、飲食店を開業する際に必要な届出を見ていきましょう。対象となる営業形態と提出先、提出期限について紹介していきます。
食品営業許可申請
営業形態:全店舗必須
提出先:保健所
提出期限:店舗完成の約10日前まで
防火管理者選任届
営業形態:収容人数が30名を超える店舗
提出先:消防署
提出期限:営業開始時まで
火を使用する設備等の設置届
営業形態:火を使用する店舗
提出先:消防署
提出期限:設備設置前まで
個人事業の開廃業届出書
営業形態:個人で開業する場合
提出先:税務署
提出期限:開業から1ヶ月以内
青色申告承認申請書
営業形態:青色申告をする場合
提出先:税務署
提出期限:開業から2ヶ月以内
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
営業形態:深夜12時以降もお酒を提供する店舗
提出先:警察署
提出期限:営業開始の10日前まで
社会保険の加入手続き
営業形態:法人の場合は強制加入・個人事業主の場合は任意
提出先:日本年金機構
提出期限:強制加入の場合は加入条件の発生から5日以内
労災保険の加入手続き
営業形態:従業員を雇う店舗
提出先:労働基準監督署
提出期限:雇用日の翌日から10日以内
雇用保険の加入手続き
営業形態:従業員を雇う店舗
提出先:公共職業安定所
提出期限:雇用日の翌日から10日以内
店舗を借りずに開業する場合についても見ていきましょう。シェアキッチンやキッチンカーは、店舗を構えるよりも初期費用が安く済む場合が多く、家賃や人件費も抑えられるため近年人気の業態です。
シェアキッチン
シェアキッチンとは、複数の飲食店や料理人が共同で厨房を使用することをいいます。使用する時間や曜日を分けて、複数の飲食店がキッチンをシェアして調理を行います。同じ店舗で、日中と夜で2つの料理店が営業しているようなスタイルです。
シェアキッチンで営業許可を取る際に必要なのは、「食品衛生責任者」の資格と、「条件を満たしたキッチン」の2つです。食中毒等を予防するため、生活用のキッチンと営業用のキッチンが分けられていなければならないと保健所でルールが決められています。具体的に、どのような基準が設けられているかは管轄の保健所に確認してください。
キッチンカー
キッチンカーでの開業には、販売する地域を管轄している保健所から「営業許可」の取得が必要です。営業許可の有効期限は5年間で、その後は5年ごとに更新料がかかります。営業許可を取る場合に必要なのは、「食品衛生責任者」の資格と「車検証のコピー」「仕込み場所の営業許可証の写し」「仕込み場所の水質検査証明書」「営業設備の大要、配置図」「検便検査成績書」「営業の大要」などです。
保健所によって提出書類の内容が異なるので、確認が必要です。他にも「運転免許証」や「道路使用許可」、公園内などで販売する場合には国土交通省や公園を管轄している地方公共団体などの営業許可が必要になります。
飲食店を開業するために必要な資金の内訳
開業に必要な資金は、物件取得にかかる保証金や家賃、内装工事費、厨房機器や食器、カトラリー類の購入費などの「初期費用」と、開業後ひと月ごとにかかる「運転資金」の大きく2つに分けられます。営業が軌道にのれば、運転資金は日々の売り上げから充てていくことになりますが、開業当初はある程度の期間の運転資金が必要になります。この2つの資金をしっかりと準備しておくことが、安定した経営をするうえで必須になります。
初期費用の内訳
「初期費用」には、物件取得費(仲介手数料・礼金・保証金など)・内装工事費・設備費・広告費、スタッフの採用費などがあります。物件を契約する際に特に注意したいのが保証金です。一般的にひと月分の家賃の10ヶ月〜1年分相当と、かなり大きな金額になります。ただし、オーナーによって保証金の扱いは変わってくることもあるため、不動産会社によく確認しておきましょう。内装工事費や設備費は、前述した「居抜き物件」であれば、大きく節約できるケースもあります。また、開業当初の広告費やスタッフの採用コストも初期費用として必要になります。
運転資金の内訳
「運転資金」は、家賃・人件費・光熱費・食材費など、月ごとに必要となる費用のことです。お店の規模やスタッフの数によって異なりますが、規模が大きくなるほど、毎月の運転資金も上がっていきます。開業時には、経営が軌道に乗るまで時間がかかることも想定して、半年分程度の運転資金を準備しておきましょう。
飲食店を独立開業するために必要な能力
「料理が美味しい」というだけでは続かないことが多いことも飲食店の難しさです。飲食店を開業し、長く続けるためには何が必要なのでしょうか?
経営スキル
どんなに美味しい料理を提供できても、経営がうまくいかなければお店を継続させることはできません。飲食店経営に必要な基本的な知識を理解しておくことが不可欠です。飲食店でもっとも重要になるのは、FLコストといわれています。FLコストとは、Food(食材費=材料費)とLabor(人件費)のことです。飲食店の場合、お店の規模にもよりますが、FLコストのうちのLabor(人件費)を抑えるために最初は従業員を雇わず、自分一人か家族でお店を経営していくケースが多いといわれています。
マーケティングスキル
飲食業は競合が多く、来店する人によってもニーズが異なることから、マーケティングスキルも必要です。市場や顧客ニーズを見極めて、お店づくりや営業をしていくことが重要です。近年では、飲食店を探す際にパソコンやスマートフォンで検索する人が多くなっています。飲食店の検索サイトも複数登場していますので、どの検索サイトを使うのか、費用対効果を考えて利用しましょう。また、特に若い世代をターゲットにした飲食店では、店主やスタッフがSNSなどを使って、宣伝するケースも多くなっています。こうしたWebマーケティングのスキルも重要になっています。
調理スキル
飲食店を経営するうえで、調理スキルは最も基本的なスキルであることはいうまでもありません。開業してしばらくは、人件費を抑えるために調理はすべて一人で行うケースが多くなるでしょう。お店の形態やメニューにもよりますが、メインの料理はもちろん、ドリンクやデザートなどをすべて一人で提供できるだけのスキルを身につけておきましょう。調理スタッフを雇えるようになったときは、スタッフを上手に使って、調理を進めるスキルが必要になります。
従業員をマネジメントするスキル
お店の経営が軌道に乗ってきた場合、従業員を増やすことが必要になってきます。その際に必要になってくるのがマネジメントスキルです。一人で全てを行ってきた段階から、人を使ってお店を動かす段階になると、状況は大きく変わってきます。調理方法や接客のやり方を教えながら、スタッフを育てていくことが必要になります。飲食店経営の最も難しい部分のひとつといえるでしょう。
飲食店を開業する魅力とは?
現代は世界中に数え切れないほどの飲食店が存在します。それだけ、飲食店は魅力のあるビジネスといえます。飲食店を開業する魅力を改めて考えてみましょう。
自由に意思決定できる
飲食店を開業すると、お店のコンセプトづくりから、具体的なメニュー、お店の外観や内装、細かいところではメニューを提供する食器類まで、全ての決定を自分で行うことができます。また、事業が成功した際には大きなリターンを手にすることができます。
オリジナルメニューを開発・提供できる
自分だけのオリジナルメニューを開発し、提供できることは飲食店開業の大きな魅力のひとつです。オリジナルメニューを考え、顧客に提供することは、まさに自分のアイデアや技術で勝負することです。さらに顧客の反応や手応えを目の前で感じることができるため、もらった意見を参考にしながら、メニューをさらに工夫したり、新しいメニューを考えることもできます。
個性が活かせる
メニューだけでなく、飲食店は自分のセンスや個性を活かして、お店づくりを行いやすいことも大きな魅力といえます。お店の外観や内装といったところから、食器やカトラリー類、メニュー表、スタッフのユニフォーム、BGMといった細かい点まで、さまざまなところで自分の個性を発揮することができます。また個性を発揮することが競合との差別化ポイントにもなります。
飲食店を開業するときの注意点
自分のお店を持つことは、多くの人にとって夢が実現する瞬間でしょう。お店のスタート時には、一人、もしくは家族とともにスモールスタートするケースが多いため、ここではまず小規模なお店をオープンする際の注意点を項目別に解説していきます。
病気・ケガをしたときに営業が難しい
少人数で飲食店を切り盛りしている場合、大きな問題になるのが従業員の病気やケガです。店主が一人で切り盛りしている場合はもちろん、従業員が病気やケガで休んでしまうと、人手が足りず、お店を運営することが難しくなります。小規模な飲食店にとって、お店を閉めることはそのまま損失につながってしまいます。店主自身や従業員が病気やケガをしたときのリスクを想定しておくことは重要です。
大量仕入れができないため仕入れ費用が高い
小規模な飲食店では、仕入れる食材量が少なくなります。そのため、大規模な飲食店のように大量仕入れによって費用を抑えることはできません。特に開業してすぐでまだ実績がないお店の場合、仕入れの条件が不利になることもあります。初めは仕入れ費用が高くなってしまうことを想定し、十分な運転資金を用意したうえで、なるべく固定費を抑える工夫をして営業しましょう。
売上の最大値が下がる
小規模な飲食店は席数が少なく、大人数グループ客への対応が難しいため、売上の最大値は小さくなります。そのため、重要になるのは客席回転数です。客席回転数は、客席回転率とも呼ばれますが、1日あたりの客席の稼働状態を表す数値で、1日の利用客数を客席数で割って計算します。小規模なお店の場合、客席回転数を上げる、もしくは客単価を上げるなどの工夫が重要です。
開業費用に自己資金を使いすぎない
飲食店を開業する際によくある失敗が、開業費用に自己資金を使いすぎてしまうことです。当初は一定の開業資金を準備するので、どうしてもお金を使いがちになってしまいます。しかし、開業前に予定していた以上に資金を使ってしまうと、開業後の資金のやりくりが厳しくなってしまいます。経営が軌道に乗るまでは楽観的になりすぎず、慎重な姿勢で臨むようにします。
飲食店開業を成功させるポイント
飲食店経営者として開業を成功させるポイントを見ていきましょう。
コンセプトを明確にする
先述の通り、飲食店を開業するにあたって、まず最初に行うべきことはお店のコンセプトを定めることです。自分のお店ならではの特長を明確にすることで、「行ってみたい」と興味をひけるよう、また、「もう一度いきたい」と思ってもらえるよう、メニューやお店づくりを工夫しましょう。
資金調達の前に物件探しをする
開業に向けて、まず最初に資金を準備しなければならないと考えている方が多いかもしれませんが、資金調達の前に物件探しをしておくことがポイントです。もちろん、ある程度の自己資金は必須ですが、開業のために金融機関から融資を受ける際には店
舗の所在地、家賃などを記した事業計画書が必要になります。つまり、店舗を候補としてでも確定しておく必要があります。物件を選ぶ際、不動産会社には、金融機関から融資を受けることを伝えておきます。
集客施策を打つ
数多くの飲食店が存在しているなかで、新しく開店したお店に足を運んでもらうためには、集客施策が欠かせません。チラシを使ったり、ホームページを作ったり、飲食店の検索サイトを使ったり、考えられる手段はすべて活用するようにします。また今ではSNSを活用したプロモーションが有効です。お店や店主自身が情報を発信することはもちろん、来店した顧客がお店やメニューに関して思わずSNSに投稿したくなるような工夫が大切です。
周りのアドバイスを参考にする
お店を開業する際には、自分の考えやアイデアに加え、周囲にアドバイスを求め、取り入れるようにしましょう。飲食店は流行り廃りが早く、競合性が非常に高くなっています。開業を成功させるためにも、長くお店を経営してきている人や開業を成功させた人などの意見を参考にしましょう。。
飲食店開業を目指して
飲食店の開業は大きなチャレンジです。開業準備は、コンセプトづくりから物件探し、資金の準備、メニュー開発や厨房機器の準備、店舗の内装工事、さらには食器や従業員のユニフォームの手配、従業員の募集など、やるべきことが山のようにあります。
そして、本当の勝負はお店を開業してから。ぜひ、あなたの夢を実現できるお店をつくり、多くの顧客に自慢のメニューやサービスを提供してください。
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