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2019.11.25東京
授業/特別講師/講演会
<鎧塚 俊彦シェフ 監修カリキュラム>レコールバンタン グランパティシエ学部の授業では、『牛乳』の基本を学びました!
講師 「お店に就職したら、その店が使っている乳製品を使って仕事をします。いろいろな種類を比べる機会はないでしょう。在学中から、いろいろな乳製品があることを知って役立ててほしいですね」
<「牛乳」の種類について>
講師 「牛乳には、①生乳のみを原料とし何も足さない引かない、②加熱殺菌をしなければならない、③10℃以下で流通しなければいけない、という決まりがあります」
また、乳等省令上の分類として、このように細かく定義されています!
◆牛乳……成分無調整
◆成分調整牛乳……脂肪、その他一部成分の除去
◆低脂肪牛乳……乳脂肪0.5%〜1.5%
◆無脂肪牛乳……乳脂肪0.5%未満
◆加工乳……生乳に乳製品を加えて成分調整したもの
◆脱脂濃縮乳……生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものを濃縮したもの
<「牛乳は、夏は薄い。冬は濃い。」これって本当?>
講師 「日本で最も多く飼育されている『ホルスタイン種』の牛は暑さが苦手です。では、夏はどうなると思いますか?人間と同じように、食欲がなくなります。エサを食べなくなり、水をたくさん飲むので乳の成分が薄くなるんです。お客さんから『牛乳を水で薄めているんじゃないか?』と問い合わせがくることもあります。対して、冬には味が濃くなります」
<牛乳の飲み比べ。加工乳はどれ?>
では、生乳に乳製品を加えて成分調整した「加工乳」を当ててもらいます!
6種類のカップが用意されました。
・低温殺菌牛乳 (岩手産/殺菌は66℃・30分間)
・美味牛乳(岩手産/殺菌は130℃・2秒間)
・北海道3.7牛乳(北海道産/殺菌は130℃・2秒間)
・タカナシ3.6牛乳(産地無指定/殺菌は130℃・2秒間)
・LL北海道3.6牛乳(北海道産/殺菌は140℃・2秒間)
・RichMilk(加工乳/殺菌は130℃・2秒間)
一口ずつ口に含んで、「どれかな?」と考える学生たち。時々、水を飲みながら『利きミルク』。
講師 「いつも飲んでいる牛乳はありましたか?それでは答えを発表します!」
正解を見た学生は驚愕。
「えぇーー!」
講師 「緑シールが貼られたものが、加工乳です。最後にクリームの味が残ると思います。低温殺菌牛乳は薄かったり、少し生っぽいと感じる人もいますね。自分の舌で感じてみてください」
<飼育方法の違い>
講師 「北海道では、牛に牧草を多く食べさせるため、牛乳から草(βカロテン)の風味がします。対して都府県は牧草地面積が小さいため、牛のエサはトウモロコシや豆が主体です。エサの味は、そのまま乳に反映されるんですよ」
<牛乳の殺菌方法って?>
講師 「殺菌方法には3種類あります。低温保持(LTLT)、高温短時間(HTST)、超高温瞬間(UHT)です。それぞれ63℃〜65℃で30分、HTSTは72℃以上15秒以上、UHTは120〜150℃で1〜3秒と決まっています。
熱をかけると、タンパク質は変成します。卵だとイメージしやすいですね。例えば、生卵が好きな人は低温殺菌牛乳が好き。HTSTは温泉卵の感じ。そして、目玉焼きのカリカリが好きな人はLL牛乳が好きな人が多いですよ。熱を加えたとき、牛乳の中でアミノカルボニル反応(=メイラード反応)が起きています」
<では、どうやって使い分けるの?>
講師 「皆さんは、カスタードクリームたきますよね?生卵に加熱した牛乳を入れると、牛乳は二回加熱されてしまいます。そのため牛乳の加熱臭が出てしまう。カスタードクリームを作る時は、低温殺菌を選んだほうが卵の味を引き立たせやすいです。
紅茶も同じです。茶葉のうまみを打ち消さないためには、低温殺菌がオススメです。ちなみにコーヒーは、コーヒーの味が強いのでどの牛乳を合わせてもいいと思います」
また、生クリームの食べ比べにも挑戦!
『北海道純生クリーム』や『フレッシュクリーム』よりも、植物性油脂が入っている『レクレ33』の方が美味しいと感じた学生もいました。
講師 「値段としてはいちばんリーズナブルですが、『レクレ33』を皆さんが美味しいと言ってくれてメーカー冥利に尽きますね。生クリームも、スポンジやフルーツによって何がいいかは変わります。甘みが強いイチゴを合わせるなら、しっかりしたクリームを合わせないと食べたときに物足りなく感じます」
<牛乳の製造方法について>
講師 「さて、牛乳は、生乳→加温→均質化→殺菌→冷却→充填
と、製造工程はとても単純です。つまり、製造方法がシンプルな分、それだけ原材料が大切になります。どんなに腕を磨いても、残念な材料では美味しいケーキは作れません。是非、いいものを見極めてください!」とアドバイスしました。
ここまで色々な種類の牛乳、生クリームを食べ比べられるなんて、他ではできない体験。
在学中から美味しいものをたくさん食べて、"違い"の分かるプロになってくださいね!