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2022.07.09東京
授業/特別講師/講演会
レコールバンタンの講師は、「現役プロフェッショナル講師」
業界を熟知したプロフェッショナルだからこそ、製菓技術にとどまらず、
ビジネス、クリエイティブなどフードビジネスで必要なスキルを幅広く教えてくださいます。
今回、特別講師としてお越しいただいたのは、「DEL'IMMO」(デリーモ)シェフパティシエ/ショコラティエ江口和明講師
2013年に「デリーモ」ブランドを立ち上げ、現在は東京ミッドタウン日比谷本店他、7店舗を展開されています。
在校生(以下メンバーと呼びます)が調理するのは、お店の看板メニューである
「PRINCESS ELLA」(プリンセス エラ)と名付けられたパフェ(単体価格・税込2,530円)
デリーモで、いちばん売れているパフェだそう!
授業では「ドレスアップショコラパーツ」と名付けられた、水色の飾りチョコレートを作ります
〈1.フレーク法でテンパリングをとる〉
チョコレートで大切なのは「テンパリングをとる」こと。
これは、バラバラになっているココアバター(カカオ豆の脂肪分)の結晶を、最も安定した結晶型に揃える作業を指します。
「フレーク法」は、溶かしたチョコレートに、細かく刻んだテンパリング済みのチョコレートを加えて溶かし、全体の温度を下げる方法!
「要するにダメダメな結晶の中に、いい子ちゃん結晶を入れてあげる方法。そうすることでボウルの中の結晶が、
まぁまぁいい結晶になるんです」と、ユニークな例えで解説する江口講師
ちなみに今回の授業は、SNSでライブ配信されました!
テンパリングしたチョコレートを、ヘラで大理石の上に広げ、OPPシートの上に移動。
固まったら、直線の跡を等間隔につけ、芯にくるくると巻き付けます。
〈2.パティシエとしてどうなりたいかを考えて〉
作業を進めながら、江口講師はパティシエとして働くことについて次のようにお話してくださいました
「自分の表現するお菓子は、長時間労働で低賃金の評価でもいいか?と聞かれたら、
いいという人はいないと思います。だからこそパティシエとして、どうなりたいかを今から決めておいて
あとは、就職して仕事はするけれど、自分では勉強しないという人がとても多いです。
でも絶対に勉強したほうがいいです。僕は、月に4冊は本を読みます。
さまざまな業界の人に会うようにしていて、同業者に会ってもお菓子の話は一切しません!
みんなが自分なりの勉強を始めるなら、お菓子屋さんに食べに行ったときに、例えば内装写真を撮影して研究する、でもいいと思います。
できることから始めてください」。
〈3.味を構成するのは、「ストーリー」〉
メンバーが調理を進める間に、江口講師に伺いました
――― なぜ、授業のメニューとしてパフェを選ばれたんですか?
「このパフェは、一般的なお菓子屋さんに必ずある素材で作っています。私たちは味わいを構成する要素は何か?と考えたときに、
“ストーリー”がとても大事だと考えました!
『PRINCESS ELLA』は、意地悪な継母に灰をかぶせられたお姫さまの物語です。
別添えの『魔法のベルガモットソース』をパフェにかけると、ジュレの色が変わるのもエラがドレスアップして
舞踏会に出かける様子をイメージしています
提供する際には、パフェの構成が書かれたカードを付け、プリンセスエラのストーリーがイメージできるようにしています」
――― 授業を、SNSでもライブ配信する理由は?
「常識に縛られすぎず、発想してほしいから。配信を見て、レコールバンタンやデリーモに関心を持ってくれる人が
増えたらという狙いもあります」と、コメント。
美味しいパフェを作ることに終始せず、シェフの「発想」や「視点」にも学ぶべき点が多くあります
〈4.パフェを構成するポイントは?〉
飾りチョコレートができたら、パフェを組み立てていきます
「素材は、すべてスプーンですくえる1杯分のサイズを意識しています
女性が食べるときに、大きな口を空けなくても食べられるように配慮しています。
ちなみに、デリーモでは、マドレーヌもオリジナルの型を作りサイズを小さくしています」
パフェを組み立てていく際のポイントは……?
江口講師「素材と素材の間に“空間”を作ることはとても大切です。上の素材が落ちるスペースがないと、上から食べていくときに混ぜられません」
できあがりの美しさたるや……
完成すると、メンバーから拍手が巻き起こりました
〈5.メンバーも、「PRINCESS ELLA」を調理〉
講師のデモンストレーションを見て、メンバーもパフェ作りに取り掛かります。
グラスの下から順に……、
・カシス&ブルーベリーコンフィ
・ダンテルホワイト
・クランブル
・エルダーミントジュレ
・グレープフルーツマリネ
・ライチ
・パールクラッカンホワイト
・ライチカシスアイス
・洋ナシアイスにプリンセスジュレ
・白スグリ
をトッピングし、クリスタルジュレ、先ほど作った水色の「ドレスアップショコラパーツをあしらって完成です
「パフェを考えるときに、どれくらい味の要素があればいいですか?」という質問に対して、
江口講師は「6種類くらいが理想です。食感で食べさせるもの、温度で食べさせるものと分けて考えて」とアドバイス!
できたてのパフェを美味しく味わいながら、最後に変動費、固定費についての講義がありました。
売上に対して、食材原価(Food)、人件費(Labor)、諸経費、固定費、利益と書きだし……
「分かりやすくいうと【売上】とは、皆さんの給料だと考えて
売上高に対して、原価(Food)と人件費(Labor)が占める割合を、FL比率と呼びます。
これに、諸経費を加えたものは売上に応じて金額が変わるので、『変動費』と呼ばれます。
水道光熱費や家賃などは『固定費』です。一般的なお菓子屋さんの利益率は、10パーセント以下と言われています。
例えば、オンラインショップで販売すれば、店舗を構えるのに比べて固定費の『家賃』が抑えられますよね?菓子製造業などの許可は必要ですが、
実店舗を構えるよりも参入しやすいと考えるパティシエもいます」と、変動費、固定費の概念についても解説しました。
授業を終えて……
田中さん「パフェは初めて作りましたが、作業効率を高める意識が大事だと分かりました」
表情からも、メンバーの満足度の高い授業だったことが分かりますね
また、授業の最後には、江口講師から、な、なんと!デリーモの焼き菓子のギフトセットをいただきました……!!!
江口講師、お忙しい中、ありがとうございました
江口講師はYouTubeで、スイーツレシピを公開されていますので是非参考にしてくださいね!
m.youtube.com/channel/UCluB47fcS-RnvNjPHrXYS5Q
<江口和明シェフ PROFILE>
製菓専門学校を卒業後、「渋谷フランセ」に入社。その後、東京、神戸の高級チョコレート専門店にて研鑽を積まれます。
ベルギー本店で研修後、日本初上陸「デルレイ」シェフに就任。
六本木ミッドタウン「NOKA」、「ベルベリー」、「モトヤマミルクバー」、「シルビウスブラボー」などの他業種の商品開発を経験し、
26歳の時に株式会社グローバルダイニング入社。「デカダンスドュショコラ」など、製造から販売を一手に統括。2013年「デリーモ」を立ち上げます。
ホームページ:https://de-limmo.jp
SNS:@de_limmo