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2022.11.18東京
授業/特別講師/講演会
レコールバンタンの強みは、「プロフェッショナル講師」であること。在学中から、世界で活躍するトップシェフから指導を受けることができます
今回お招きしたのは、「HAL YAMASHITA」オーナー山下春幸エグゼクティブシェフ✨
<PROFILE>
2010年4月に世界のトップシェフが集まる美食の祭典「ワールドグルメサミット」シンガポールに日本代表マスターシェフとして参加し、世界ベストシェフの称号を獲得。2012年の同サミット(アブダビ)でも、マスターシェフに連続選出されました。現在は、東京ミッドタウンに「HAL YAMASHITA 東京」を構え、カリフォルニア州・ナパやシンガポールなど海外にも店舗を展開されています。
@halyamashita
<飲食の世界に入るなら、正解を求めない>
山下シェフ「今日は、よろしくお願いします。皆さんにこれから実験をしてもらおうと思います」。
そう伝えると、一人ひとりの手の平にスプーン一杯の塩を盛りました。「一口舐めてみてください。この味を覚えておいて」。
次に、その塩を反対の指で3分間揉み続けるように伝えます。3分揉んだ後の塩の味は……
在校生(以下メンバーと呼びます)は、「濃くなった」「甘い」「味の伝達が速くなった気がする」と感想を言い合います
「きっと一人ひとりの味が違うと思います。皮膚の常在菌が塩に伝わったからなど科学的根拠はありますが、
大切なのは『この変化こそが正解だ』というものを求めないこと。皆さんの感想には、正解があるわけではありません。
シェフは、そのとき自分がベストだと思うものを出します。また、美味しいものを提供できるための技術には時間が必要です。
プロスポーツ選手がものすごい練習量を積んでいるのと同様に、技術を身に着けるためには練習と時間を要します」と説きます✨
<日本料理と和食の違いとは?>
山下シェフ「ここで質問です。日本料理と和食は違います。では、どう違うと思いますか?」
シェフによれば、日本料理とは「理(ことわり)を料(はかる)」こと。
「日本人が大切にする、四季ですが、実はもっと細かく二十四節季に分けられます。
先人たちが尊ぶルールの中で行います」。対して、和食は「僕の定義では、白いご飯があって、
焼き魚もトンカツもある家庭で出される食事のことを指します。健康や栄養バランス、彩りも考えられていて、幅が広いのが特長です。
そして、『新和食』は、プロの技術で世界の食材を扱うJapanese Fusionと定義しています」
<食材の味を知る>
次にメンバーが体験したのは、利尻昆布の香り比べ。
まずは一般的な利尻昆布、もう一方は10年寝かせた貴重な「蔵囲(くらがこい)」と呼ばれるもの。うま味が凝縮され、奥深い味わいに。
利尻昆布とカツオでとった、いちばん出汁を試飲します。「これは黄金出汁とも呼ばれ、椀ものに使います」。
その後、先ほど練った塩を舌に一つまみのせ、いちばん出汁を一口含み、口内調味すると……相乗効果で、強いうま味が感じられます。
山下シェフ「鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸が合わさって、うま味が最大限に引き出されています。
また、良い昆布を使っているので、いちばん出汁を取った後も、にばん出汁を取ります。出汁を取り終えた昆布は佃煮にします。
食材を余すことなく使うことは、SDGsにも繋がります」
<米を研ぐ>
出汁の味わいを記憶したところで、いよいよ実習に入ります。
山下シェフ「では、米を研いでいきます。米は乾燥しているので、最初に注ぐ水を70~80%吸います。
なので、最初はミネラルウォーターを使うのがオススメです」研ぐときは、米と米をこすり合わせていくようなイメージで。
「力を入れると割れてしまうので、やさしく行って。研ぎすぎると香りがなくなってしまうので、
2回くらい研げば十分です。精米状態も良い米が多いです」。
表面にツヤが出たら、鍋に米、水、日本酒、昆布、刻んだ生姜を入れます。
また、秋刀魚のタレとして使う「たまり、濃口、本みりん、日本酒、上白糖、ザラメ糖」を鍋に入れて温め、
弱火よりも弱い「ホタル火」で加熱しておきます。
<秋刀魚をさばく>
続いて、秋刀魚をさばきます✨
まず、頭を切り落とします。次に尻尾から包丁を入れ内臓を取ります。
血合いも落とし、腹の血合い付近をよく洗います。次に、頭から中骨にそって尾まで切り下げ片身をはがします。
裏返したら、頭から包丁を入れ、中骨にそって尾まで切り下げて片身をはがします。
シェフの調理を間近で見て、すぐにメンバーも同様の調理に取り掛かります。
反復練習を行うことで、現場で必要とされる実践的技術を習得します。
<片栗粉をまぶし、焼く>
秋刀魚に片栗粉をまぶしたら、フライパンに米油を引いて火を通します。
山下シェフ「焼くときは皮目から。どうしてなのか、分かりますか?皮を焼かないと魚臭さが出てしまうのと、
脂にうま味があるからそれを引き出すため。反対側は、脂で熱を入れていきます」
また、加熱するときは、面をギュッと押さえない、何度もひっくり返さないのもポイント
山下シェフ「焼き目がついたらタレを入れます。タレを焦がさないように気をつけてください」
全体をなじませたら、味付けした秋刀魚を、炊き立てのご飯の上にのせます✨
山下シェフ「秋刀魚と一緒に米を炊く調理法もありますが、この方法だと失敗が少ないです。
最後に、皆さんの目がキラッとなることを教えてあげましょう。今、弊社アメリカ店舗で頑張っているシェフは、年2500万円稼いでいます。
物価も高いけれど、技術を身につければ海外でも活躍することができます」とメッセージ。
メンバーは「やるしかない!」「夢があるね」と、モチベーションに火が点いたようでした
山下シェフ、お忙しい中、実践的な授業をありがとうございました
■山下シェフ日常の台所https://www.youtube.com/c/hal-yamashita
■公式通販サイトhttps://halyamashita.official.ec/www.hal-yamashita.com