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2019.09.23東京
レコールバンタンの授業は毎回、業界の最前線で活躍するプロフェッショナルから直接指導を受けることができます。
今回お招きしたのは、【パッセージコーヒー】 オーナーバリスタ佐々木 修一講師。
▼パッセージコーヒー
佐々木講師は『ワールドエアロプレスチャンピオンシップ2014』で日本人として初優勝を成し遂げている、プロ中のプロなんですよ!
<Development Time Ratioって?>
焙煎に入る前に、DTRという焙煎状況を表現する基準について学びます。
佐々木講師 「1ハゼ(※1)から豆の煎り上がりまでを、ディベロップタイムとよんでいます。また、"ディペロップメントタイム÷全体の焙煎時間(秒)="という計算で、Development Time Ratio(DTR)という割合を出すことができます。
例えば・・・
ディペロップタイムが60秒で、全体の炒り時間が10分(600秒)なら、”60÷600(全体)×100=10%”
ディペロップタイムが75秒で、全体の炒り時間が10分23秒(623秒)なら、”75÷623(全体)×100=12.5%”となります」
学生 「DRTは、どれくらいの幅で行うのがいいんですか?」と、ナイスな質問が。
佐々木講師 「正直、何%っていう明確な幅はありません。使う豆がウォッシュドなのか、ナチュラルかなのかでもDTRの%は違います。ウチでは通常14%くらいにしていますが、エスプレッソ用の豆は20%くらいまであげたりすることもあります」
<Moisture Lossって?>
佐々木講師 「焙煎するときは、生豆の重さと、焙煎した後の豆の重さをはかります。
”180÷200—1×100=10%”という計算式です。これは、焙煎すると前と後で、どれだけ水分量が失われたかをみる計算式です」
<2パターンの焙煎を嗅ぎわけ、カッピング!>
ここで、グアテマラの生豆を使って、佐々木講師自ら2パターンの焙煎を行いました。
まずは、豆が放つ香りを嗅いでみます。
パターンAの印象は?
『ジューシー』『フローラル』『ハーブ』といったキーワードがあがりました。
対して、Bは?
『あっさり』『ココアのよう』『ナッツ』という単語が。
佐々木講師 「Aの豆のDTRは12.56%、BのDTRは11.44%です。Aの方が、水分が失われている=それだけ火が入っているということです。対してBの11.44%は、水分がAよりも飛んでいないということが分かると思います」
続いて、お湯を注いでカッピング(※2)していきます。
学生たちの感想は……?
「Aは、ひらいている。Bは落ち着いている」
「Aはミルクチョコみたいな感じ。Bは甘みが少ないね」
「Aはパリピ、Bは図書館みたに真面目だね(笑)」
なんて意見も(笑)
でも、この表現に「あー分かる、分かる!!」と共感する学生も。
佐々木講師 「AのDTRが12.56%ですよね?ということは、DTRで12.56%を出せれば、このような『ひらいている』と感じられる風味が再現できるということなんです。もちろん、豆によっても数字は変わってきます。初めて炒る豆は、何回かテストロースティングするのがオススメです」とアドバイスしました。
早速、学生たちも焙煎に取りかかります。
佐々木講師 「Aのような『ひらいている』味わいを目指して、着地は10分前後を目指してしましょう」。
学生のなかには『焙煎タイマー』というアプリを使って、焙煎の経過をチェックしていく人もいました!
佐々木講師 「6分くらいでメイラード反応がきて、9分でハゼがくると理想的。焙煎時間も10分前後でおさまると思います」とアドバイス。
熱心に焙煎したものの「けっこうスモーキーになっちゃったな」と予想外の仕上がりになった学生も。
イメージ通りの焙煎を行うのはとても難しいようです。
『DTR』に、『Moisture Loss』。
耳慣れないキーワードも、実践を重ねていけば自然と概念が身に付いていくはず。
どんなコンディションや豆でも理想の一杯を提供できるように、これからも技術を磨いていってください!
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- ※1ハゼ……焙煎によってコーヒー豆からは炭酸ガスが発生します。これらの化学反応によって豆が耐えられなくなり“爆る”現象が「ハゼ」と呼ばれています。
- ※2カッピング……テイスティング。コーヒーの甘味、酸味、苦味、あとに続く余韻、味や香りを判断すること。