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2020.10.15東京
授業/特別講師/講演会
HAL YAMASHITAオーナーシェフ・山下春幸講師をお招きしまし、特別授業が開催されました
東京ミッドタウン・HAL YAMASHITA東京本店を始め、
国内外で9店舗を経営しながら、国際連合世界食糧計画WFP協会の顧問として
食品ロスゼロアクションにも取り組まれている、日本を代表するトップシェフです♪
山下シェフ
「こんにちは。もう何年も特別講師として呼んでいただいています!
レコールバンタンの学生さんたちには思い入れがあり、
他の調理スクールの学生には負けないでほしいと思っています」
では、どうすれば他の学生よりも優位に立てるかというと、発想力がとても大事★
就職したら、毎日玉ねぎを40分も切るのだから、技術力は必ず磨かれます。
でも、発想力を磨く機会は意外と少ないんです。
僕は、『新和食』というこれまでにないジャンルを作りました
料理もファッションと同じで、時代と共に移り変わります。
スペインのレストランが注目を集めたとき、世の中ではスペインの調理技法が
注目され、一大ブームとなりました
でも、私は伝統的な料理って何だろう?と考えて、平安時代や江戸時代の
和食のルーツを調べて探っていました。
コロナ禍で、料理は原風景にグッと立ち返ったと思っています
これからは、フードロスやサステナブルを意識して料理しなければいけない時代!
皆さんは、授業でレシピを忠実に再現することを求められていると思います。
同時に、ぜひ、自分が『良い』と思う切り口を取り入れて、発想力を高めていってください。」
<学ぶのは「牧草牛の赤味噌トマト煮込み」>
山下シェフ
「牧草牛、英語で言うとグラスフェッドビーフって、みんな聞いたことある?
簡単に言うと、牧草で育てた牛のことです!」
- グラスフェッドビーフ……草で育てられている牛
- グレインフェッドビーフ……穀物で育てられている牛
食べている飼料が違うので、肉質も違います。
グラスフェッドビーフにはアミノ酸が豊富に含まれていて、それが体にいいと言われています。
調理法のポイントは、焼く、蒸す、煮るに次ぐ、第4の調理法とも呼ばれる真空調理法を使います。
真空調理では、袋の中の空気を抜いて「真空状態」にします。
袋内の気圧が変わることで、
・低い温度でも熱線が通る
・味がしみこむ
他にも色々とメリットがあります。
新和食なので、バターもニンニクも使います。
バターは日本に入ってきて未だ80年くらいで歴史も浅いですし、一般的な和食は精進料理が起源だから、
ニンニクはあんまり使いません。でも、新和食では使っていきます。
もうひとつ。日本人は一日約おにぎり一個分のフードロスを出していると言われています。
調理工程では、『いかにフードロスを少なくできるか』も意識してください」
<食材の仕込み>
「まずは肉の掃除から。肉のスジを取っていきます。
全部取りすぎてしまうと美味さが減ってしまうので、取りすぎないように。
取ったスジからダシをとるのもいいと思います。」
しいたけはイシヅキを取り、軸も細かく切って使います。
キーワードは「フードロスを減らす」。
<調理>
- 1.鍋に無塩バター10g、オリーブオイル8gを入れます。
- 2.フレッシュなニンニク1/4欠片、生トマト1/2個、オーガニックトマト缶、玉ねぎ100g、赤味噌10gを入れます。
- 山下シェフ「火入れのポイントは、鍋はあまり触らず、コンロで火加減を調節すること。
- あとは外火(外炎)を必ず使うこと!外火を使うことで、外側から熱が入り効率よく伝導します。」
- 3.トマトケチャップ20g、本みりん5g、グラニュー糖2g、醤油1.5g、
カレー粉1g、ニンニク1/4、ブラックペッパー適量、水50gを入れます。
ヘラで鍋のふちをからめ取りながら、全体を混ぜます。
- 4.火が通ったら、③をミキサーにかけます。
- 5.④を再加熱します。
- 6.フライパンにオリーブオイルを引き、牧草牛120g、細かく刻んだ玉ねぎ100g、
- ブラウンマッシュルーム3個、しめじ1/4株、しいたけ1個をいためます。
山下シェフ「きのこ類は、押さえながら焼くと“泣きます”。つまり、余分な水が出るんです。」 - 7.⑤と⑥を合わせ、粗熱を取ります。その後、乾燥昆布と一緒に真空パックにします。
- 8.真空パックを30分、55℃で加熱したらできあがり!
- 山下シェフ「真空調理のメリットは、一定時間、人の手がなくても調理できるので、
- コストと時間を削減できること。最近では、介護施設の厨房など、
ありとあらゆる少人数の現場でも活用されています。
こういう方法は、ぜひ知っておいてください!」
山下シェフのデモを見た後は、学生たちも一人一制作してきます。
玉ねぎは細かく、牛肉は「引き切り」し、肉の繊維を切ります。
山下シェフ「失敗も成功もないよ。授業は実験と一緒です。切り方に細かく指示はしないので、
色々試してみてください。」と、自分たちで考えながら仕込むように諭します。
手際良く、ソースに加熱した牧草牛、きのこ類を合わせて真空包装機でパッキング
ここまで仕込めば、あとは一定時間加熱するだけ。
学生「真空調理は初めてでしたが、工程はまったく難しくありません。こんな技術があるなんて知りませんでした」
ちなみに、真空パックにする機械がなくても、ファスナー付きプラスチックバッグがあれば、
家庭でも真空調理を再現することができます。自宅でも復習をかねて、いろいろとレシピを開発してみてくださいね
山下シェフ、お忙しい中ありがとうございました!