- 製菓・カフェ・調理専門の学校【レコールバンタン】/
- トピックス/
- 学校ブログ/
- <ピエール・エルメ・パリ>より、ルデュ リシャール社 ...
2020.12.16東京
授業/特別講師/講演会
今回レポートするのは、「パティスリー界のピカソ」と称される
ピエール・エルメ氏による世界的ブランド「PIERRE HERMÉ PARIS」とのスペシャルカリキュラム。
ルデュ リシャール社長とクリストフシェフをお招きし、世界トップクラスの技術やパティシエとしての心構えを学びます。
<ルデュ リシャール社長トークセッション>
「23歳の時に日本にきました!日本を選んだ理由は、日本の文化が好きだったし、言葉、文化、仕事のスタイルも
全く違うところに住んで、人として新しいことを勉強したいと思ったからです。」
とフレンドリーに語り掛けるのは、ルデュ リシャール社長。
また、来日したときに日本のこんな文化に驚いたそう。
「高級ホテルであるニューオータニのシェフパティシエとして迎えられました。
当時のホテルは、土日で1日に40件くらい結婚式がありました。どうやって40個のケーキを毎回切り分けるのか?
と疑問を感じました。その時に、入刀用にはダミーのケーキを用意しておくといったアイデアを知りました。
いろいろな面で、フランスで学んだベーシック技術を、
日本で使う経験がとても面白かったですね」と振り返ります。
「ピエール・エルメでは、店舗ごとにアーティストと組み、さまざまなストーリーを生み出しています。
また、時代とともにお客さんとのコミュニケーションも変えています。
お客さんの考え方も変わっているから時代と共に変化しないといけません」
一例として、とらや、ミスタードーナツ、BTSとのコラボレーションなどジャンルを問わず
多角的なコラボレーションを実施し、若いお客さまにも身近に感じてもらえるような機会を増やしているそう。
また、学生一人ひとりに「お名前は?どんなパティスリーに就職する予定ですか?」と、
積極的にコミュニケーションを取っていくルデュ社長。
学生「私は、ブライダルの企業に就職します」
学生「銀座にあるレストランのパティシエとして働きます」
学生「未だ決まっていませんが、将来はヴィーガンのスイーツを作っていきたいです」
ルデュ社長「なるほど。皆さんのやりたいことが分かりました。
私も毎日、起きたら『お客さんの幸せ』の作り方を考えています
。私は、引退するまでにプラスチックを削減して、地球環境のためにできることをしたいと思っています。
例えば、これまでフランスの味を再現するために果物を空輸していましたが、それも考え直しています。
技術を継承するだけではなく、社会のために貢献したいです」とビジョンを語りました。
<クリストフシェフによるデモンストレーション>
「pâte feuilletée inverse(パート・フイユテ・アンヴェルセ)」
(直訳すると逆さまの折込みのパイ生地)
クリストフシェフ「ピエール・エルメのパイ生地は、
一般的な折込みパイ生地とは逆さまで、バターで、デトランプを包みます。
一般的なレシピに比べるとバターの量が多いですが、その分パリパリしていて、リッチな味わいを感じることができます」
- ブール・ファリーヌ>
ブール・ファリーヌとは、バターに小麦粉を混ぜたもの。
最初に、カメリアとバターを合わせ低速でミキサーにかけます。
ある程度混ざったら、いったんミキサーを止め、カードでバターの塊をなじませ、再びミキサーにかけて均一に混ぜます。
ラップに広げてカードで15cmほどの正方形に整えます。
ここで、半日以上冷蔵庫で冷やすのですが、デモンストレーションではあらかじめ冷蔵して準備しておいた生地を使います。
- デトランプ>
デトランプとは、小麦粉、塩、水を混ぜて作った生地のことで、製パンではクロワッサンなどの折り込み生地を作る際に用いられます。
1.ミキサーボウルに強力粉、薄力粉、クリーム状にしたバターを入れます。
2.塩と水を合わせて酢を加えたものを1に入れます。
3.低速でミキサーにかけ、途中フックについた生地を落とします。
4.生地が混ざったら台で表面をなめらかにしながら丸め、
ナイフで十字に切り目を入れて切り目の部分を手で開き、20cmぐらいの正方形にします。ラップで包んだら冷蔵庫へ。
<ブール・ファリーヌで、デトランプを包む>
ブール・ファリーヌに、デトランプを配置します。
この時、ブール・ファリーヌは四角に平置きし、デトランプはトランプのダイヤ型になるように重ねるのがポイント!
ブール・ファリーヌの四つの辺は、デトランプを包むように折り込んでいきます。
クリストフシェフ「打ち粉をしながら、厚みが均等になるように伸ばしていきます。
パイシートは見たことありますか?同じイメージで伸ばしましょう」
生地を四つ折りにして、2時間冷やします。
その後、打ち粉をしながら綿棒で伸ばしていきます。再度、四つ折りにします。
クリストフシェフ「厚さは12mmくらいです。生地は、四つ折りを2回するのがポイントです。
最後に、三つ折りにして伸ばしていきます」
グラニュー糖を生地にまぶしたら、180℃のオーブンで25分焼成します。
生地を焼く間、クレーム アングレーズ ヴァニーユの仕込みを行います。
「マダガスカルのヴァニラを使って風味豊かに仕上げます」
焼き上がりが近づくと、キャラメリゼの甘く香ばしい匂いが調理室いっぱいに香り立ってきます。
「パイがツヤツヤになるのは粉糖をまぶしているからですよ」と、丁寧に説明するクリストフシェフ。これは、生地だけ食べても美味しそう!!
こうして、順調に調理を進めていき、ブランドを代表する生地のポイントを学ぶことができました。
またひとつ、新しいレシピを習得することができましたね!
日本のパティスリー業界を牽引するシェフから直接指導を受けられるのも、レコールバンタンならでは。
トップシェフの思考や技術を間近で学ぶことで、パティシエとしての発想法やセンスに磨きをかけられたのではないでしょうか。
ルデュ リシャール社長とクリストフシェフ、お忙しい中ありがとうございました!