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2021.12.17東京
授業/特別講師/講演会
今回のゲストは、2018年に青山一丁目にオープンした「The Burn」料理長・米澤文雄シェフ
シェフのキャリアは……恵比寿「イル・ボッカローネ」で修業後、22歳でニューヨークへ。
インターンを経て、ミシュラン3ツ星店「Jean-Georges」で日本人初のスーシェフに就任。
帰国後、都内のレストラン数店でシェフを務めた後、「Jean-Georges Tokyo」オープン時からシェフ・ド・キュイジーヌとして活躍。
現在は「The Burn」のプロデュース&料理長としてご活躍されています
「恵比寿『イル・ボッカローネ』で働いていたときに外国人のお客さんを担当したんです
『お前のおかげで、すごくいいディナーになった』と褒めてもらえたのがとても嬉しくて。
フランス、イタリア、スペインなどに修業に出る人が多いなかで、当時は未だ美食の街ではなかったN.Yに可能性を感じ、渡りました」
<1.N.Y「ジャン・ジョルジュ」で働くまで。アスパラガスの下ごしらえで認められた>
N.Yでは、現地の語学学校に通った後、縁あって現地ナイズされた「日本食レストラン」で働くことに
その当時ミシュランガイドはなく、レストラン案内本は「ザガット・サーベイ (Zagat Survey)」のみ。
「『ジャン・ジョルジュ』はザガット・サーベイの中で30点中28点と評価された4件のレストランのうちのひとつ。
マンハッタンのトランプ・インターナショナル・ホテル&タワーの1階にあります。
ガラス張りなので、外からコック帽子をかぶったシェフが働いているのをみて『格好いい。いつかここで働きたい』と強く思いました」
技術を磨くため、週末は、様々なレストランでインターンとして働くことに
報酬の代わりにその店のスペシャリテを食べさせてもらうなどして、半年ほど研鑽を積んだそう
「『ジャン・ジョルジュ』で働きたいと話をしたときに、渡されたのはアスパラガスのケース。今思えば『剥いてみろ』と言われたのが技術テストでした
『イル・ボッカローネ』で、春になるとアスパラガスを死ぬほど剥かされていたことが、功を奏しました」
実力が認められ、晴れて就職。採用後は、めきめきと頭角を表しスーシェフを務めます
<2.すべてにおいて「予習」と「復習」が大事>
「歴代で日本人のスーシェフはいないと言われたので、それを目標にしようと思ったんです
目標は、叶えたい気持ちが強ければ強いほど実現しやすいです。僕は今、非常勤講師として学生の調理も見ています。
調理ができない人に共通することは、そもそもゴールを理解していない。そして、プロセスを鮮明に描けていない場合が多いです。
オムレツをひとつ作るのもそう。ゴールの正しいイメージと、明確なプロセスを理解していなければオムレツもキレイに早く作ることはできません」と断言します
「レストランでは『ステーション』ごとに分かれて仕事をします。僕は、早く出社して担当以外のステーションの仕事も率先して手伝っていました。
予習することで、仕事を頼まれたときも、誰かに教えてもらわなくても仕事ができちゃう。
『こいつ、なかなか使えるじゃん!』と思ってもらえたら、さらに仕事を頼まれます。ぜひ、相手が求められるものを提供して“使えるやつ”になってください」
こうして、米澤シェフのもとには、世界中からさまざまなオファーが舞い込むように
F1「シンガポールグランプリ」でのケータリング、
世界のベストレストラン50で2度も世界一に選ばれた「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラ・シェフとの交流、
ワイナリーにて富裕層向けに行われるチャリティーイベント「Chefs & Champagne®(シェフズ & シャンペーン)」など、
トップシェフではければ参加できない華やかな現場や思い出を写真と共に紹介しました
<2.人さまの口にするものを作る。シェフは、面白くてやり甲斐のある仕事>
「僕の肌感ですが、日本では、やりたい仕事をしている人は、とても少ないと感じます。したくない仕事でも、みんな食うため生きるために続けています。
皆さんには、やりたいことを仕事にできるように努力してほしいです。努力はタダ。貪欲に学んでいきましょう。
仕事をしている中で、人さまの口に入るものを作るってすごい仕事だな、面白いなと感じます
それから、特別な記念日には、ご両親、パートナーに特別な料理を作ってあげることもできます。誇りが持てるように、日々仕事をしましょう
あとは、就職したら3年くらいはその店で働いたほうがいいです。1年ではいろいろと分からないから。基盤ができるとダメになりにくいです。
早く成功したいのは、みんな一緒。
でも焦って早く成長しないほうがいい。シェフとしての足腰を鍛えて、信頼関係を培っていってください」とアドバイス
他にも、たくさん旅をして。コロナ禍で難しいものの積極的に海外へ出て、
調べても分からない空気感、現地の食、文化を体感することに大きな価値があるといったメッセージも送られました
<3.「理想の上司、嫌な上司」を考えるWORKSHOP>
後半はワークショップを行いました。
米澤シェフ「自分たちが考える理想の上司と、こんな上司は嫌だという人を書き出してください。それぞれ5つずつ挙げて発表してください」
チームごとに15分間考え抜き、各チームが発表!
在校生「理想は部下への思いやりがある人、コミュ力がある人、何でも教えてくれる人、ちゃんと叱る人、仕事がキレイな人です。
嫌な上司は無視する人、パワハラな人、挨拶しない人、仕事が汚い人、部下を見下す人です」と発表
他にも、理想とする上司には「愛情を持って怒ってくれる人」「転職する際に、部下のキャリアアップを喜んでくれる人」といった意見が挙がりました
米澤シェフ「どのチームもよく考えられていますね
このワークショップを行ったのは、自分が人を束ねる立場になったときに、良い行いは積極的にして、嫌なことはしないでほしいから
今からでも実践できます。例えば、皆さんが理想の上司に望む『味に妥協しない』は、調理の授業で必ず味見をしていますか?妥協していませんか。
授業では明るくしていますか?片付けながら調理をしていますか?と自分自身にも質問してほしいです!
あとは、挨拶するクセ、『はい』と返事するクセをつけて!みんなの中で、返事をしなくてもいいクセがついてしまっていると感じます、、
僕としては部下に返事をしてもらえないとイラっとしますし残念な気持ちになります。就職するとき、皆さんは“できない前提”で受け入れてもらうと思いますが、
挨拶ができる子、返事がいい子はそれだけで得をします。それは、120%僕が保証します。是非、クセ付けていってください」
遠慮気味にうなずく在校生たちに……
「そこは、『ハイ!』でしょ(笑)今日からは、意識してね!自分が人生を優位にする方法のひとつです」とアドバイス
シェフの講義をおさらいすると……
・ 「予習」&「復習」が大切。また、ゴールとプロセスを明確に描いて
・ 仕事においては「使えるやつ」と思われることが大事
・ 挨拶をしっかりすること。何か言われたら、「ハイ!」と元気よく返事をする
一見するとどれも基本の心がけですが、貪欲に予習&復習を繰り返し、周りから「使えるやつ」と認められていくことで、信頼と実力が培われていくんですね
米澤シェフの授業は計3回。次週、いよいよ調理実習に入ります