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2025.03.29東京
イベント
レコール・バンタンの授業は実習が中心。
講師陣は第一線で活躍するプロフェッショナルたちです。
今回はゲスト講師に浅井拓也さんをお迎えし、本格的なフランス菓子作りに挑戦しました。
浅井講師は日本フランス料理界の巨匠・三國清三氏がプロデュースする「Dining33」のシェフパティシエです。
今回作ったデセール(皿盛りデザート)は、ヴァシュラン フレーズ。
浅井講師「ヴァシュラン フレーズはメレンゲと生クリームを使ったデセールです。
フランスの真っ白なチーズ”ヴァシュラン”から着想を得て作られました。
今回は季節感を出して桜を飾ったレシピにしています。
持ち帰ることはできませんが、ご家庭でも簡単に作れるので、おうちでもチャレンジしてみてください」
説明と材料や道具の紹介の後、さっそく浅井講師によるデモンストレーションが始まりました。
浅井講師「まずはムラング(メレンゲ)作りから。
卵白とグラニュー糖をミキサーで泡立てていきます。
ご家庭ではハンドミキサーを使うか、手で泡立てても構いません。
コツは、グラニュー糖を一気に加えず、数回に分けることです」
泡立てたムラングの生地は絞り袋に入れて絞っていきます。
スプレー油とコーンスターチを塗った型に、渦のように3回ほど巻きつけます。
浅井講師「今回はシリコンの型を使っていますが、ご家庭ではお茶碗で代用もできます」
成形した生地はオーブン80℃で90分乾燥焼きします。
次はクレームシャンティ
浅井講師「よくある失敗は、混ぜすぎて固くなってしまうこと。
ミキサーでは少し緩くホイップしておいて、使うときにホイッパーで調整するといいです」
続いて、イチゴのカット
中身用の薄切りと、デコレーション用の細かい角切りにします。
「これは紅ほっぺですね」毎日フルーツを扱っていると、見ただけで品種がわかるそうです。
最大の見せ場は、トッピングのアメ作り。
鍋でピンクに色付けたアメを温め、セルクルにつけて膜を張ります。
そこに息を吹き込んで風船のように膨らまし、固まったら手でちょうどいい大きさに割ります。
ピンク色の細長い風船ができると、「おぉー」という歓声とともに拍手が上がりました。
最後は飾り付け
まずはお皿に丸くソースフランボワーズを敷きます。
乾かしたムラングの中にスライスしたイチゴを入れ、クレームシャンティでイチゴを覆って、
その上にデコレーション用のイチゴにナパージュとゆずの皮を絡めて乗せアメと金箔をトッピング。
乾燥させた桜の塩漬けを少々散らして完成です!
さっそく皆さんも実践開始。
各テーブルにレコールバンタンの在校生が1〜2名ついてサポートします。
在校生のアドバイスを受けながら、上手にイチゴをカットしていきます。
浅井講師も各テーブルをまわり、アドバイスをしてくれました。
「普段からお菓子作りはするの?」など雑談を交えながら、楽しく作っていました。
アメの風船が上手にできると、拍手で盛り上げてくれます。
作業の合間には、在校生と参加者や保護者との交流が見られました。
「入学にあたって不安なこととか、気になることはありますか?」
「部活は何をやっているの?」
「普段の実習のときの服装は……」
学校生活やイベントのことなど、入学前に在校生の生の声を届けられる機会になったことでしょう。
皆さん、とても上手にできました。
参加者からは、
「おいしいです」
「思ったよりうまくできました」
「先生と在校生の説明がわかりやすかったです」
などの声。
試食の後は、浅井講師への質疑応答コーナーです。
──プライベートでもお菓子作りをされますか?
浅井講師「しません。お菓子を作るのは仕事だけ。ただ、料理は好きなので、キッチンにいることが多いです。
カレー作りが好きで、よくスパイスカレーを作ります。最近は魚の三枚おろしにハマっています」
──お仕事の中で充実感を感じるのはどういうときですか?
浅井講師「お客様に喜んでいただけるとき。それから、一緒に働いているスタッフが成長したときです。
私はシェフパティシエなのでレシピを作りますが、実際にお客様から注文を受けて製造し、届けるのはスタッフたちです。
スタッフ全員で高めたクオリティをお客様に褒めていただけるのは、最大のやりがいになります」
──高校生のときは何をしていましたか?
浅井講師「中高6年間は部活でバドミントンに熱中していました。引退後はフランス料理店でアルバイトをしていました。
本当はケーキ屋さんで働きたかったのですが、高校生は募集していなかったんです。
でもアルバイト先のフランス料理店のシェフとのご縁がつながり、三國シェフと知り合うことができました」
──専門学校を選んだ決め手は何ですか?
浅井講師「早く現場経験を積みたかったので、1年制の学校に決めました。
2年制で国家資格の製菓衛生師を取れる学校もありましたが、早く卒業できる方法を選んだんです。
たった1年の差ですが、社会人になって1年先輩だと、その関係がずっと続いていきます。
製菓衛生師の資格がなくてもパティシエになれますし、食品衛生責任者の講習を受ければお店を開けます。
だから実務経験のほうが大切だと考えました。今でもそう思っています。
パティシエを目指したきっかけは、中学2年生のときに近所にできたお菓子屋さんのシュークリームを食べて感動したことです。
ただ、進路を母親に納得してもらうのが大変でした。『お菓子作りをしたこともないのに、本当にパティシエになりたいの?』と。
そこで私は本を買ってきて、マカロンを作ってみたんです。でも見事に失敗しました(笑)。
『ほら、見て。うまくできないから、専門学校で学びたいんだ』と言って親を説得したことを覚えています」
──パティシエの仕事の面白さは何でしょうか?
浅井講師「その瞬間しか作れないデザートに出会ったときの感動、でしょうか。
日々の仕事の中で感動を見つけられたら、どんな時でも頑張れると思うんです。
労働時間の長さとか、立ち仕事だから体力的にきついとか、大変なことはたくさんあります。
それでも、自分が味わった感動をお客様や友人、家族に届けたいという思いのほうがずっと強い。だから続けていられるんです。
私は年々、仕事が楽しくなっています。なぜなら、作りたいものをおいしく作れるようになっていくからです。
パティシエになりたての頃はまだ技術が足りないので、思ったものがなかなか作れず苦労します。
でも経験値を積んでいくと、自分が作ったものを『おいしい』と思えるようになっていくのです。
パティシエは自分が感じた幸せを、自分の大切な人に広げられる職業です。
いま進路に悩んでいる人がいたら、ぜひこの仕事をおすすめしたいと、私は思います」
生徒は皆、講師や先輩、同級生と感動を共有しながら、プロフェッショナルな料理人を目指しています。
今回のような体験授業を随時開催していますので、ぜひお気軽にご参加ください!
