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2018.10.08東京
授業/特別講師/講演会
レコールバンタンでは、業界のシェフから直接指導を受けることができる「直伝プログラム」を行っています。
今回、教えていただくのは、『Takumi』 オーナーシェフ大槻卓伺講師。
▼『Takumi』
シェフの経歴は、とてもユニーク!
神戸大学経営学部卒業後、渡仏し、三ツ星レストラン Le Petit Nice (Marseille) (ル プティ ニース)など、5軒の星付きレストランにて3年3ヶ月修業。
2017年2月には、『Takumi』をオープンさせます。28歳という若さも、飲食業会では異例とあり、とても話題になりました。
今回教えていただくのは、「さばのレフォールクルート焼き ウニのバターソース」と「鳩のロティ」。
どちらもシェフの看板メニューですが、今回は鳩のロティの調理工程をダイジェストでお伝えします!
メインに合わせるのは、フォアグラのソースとサルミソース※1。
始めに、赤ワインとポルト酒をとろみがつくまで煮詰めます。鴨のジュ(だし)と、バターを加えます。こまめに塩を入れて整えていきます。
「僕なんかは、ちまちまと塩を入れて調整するタイプですね」と、大槻シェフが笑いながら話します。塩で味を整えたら、コーンスターチでとろみ付け。
大槻シェフ 「食べると、少し血の印象があるかもしれませんが、フルーティに、そこまで重たくないように仕上げていきます」
ここに、レバーベーストを入れて煮詰めていきます。ダマがあるときはパッセ(裏ごし)をします。もうひとつ、メインに添えるレバーソースも仕上げました。
こちらのソースは、油分が豊富なのでしっかりと撹拌して乳化(油分を水分を混ぜること)させることが大事!
ソースの後は、いよいよ火入れしたピジョンをさばいていきます♪
<もも肉>
「焼くときは、皮目8に対して、身は2のイメージで焼いていきます。焼いたお肉は、可愛く加工しますよ」
もも肉は、骨にそった肉をハサミでしごき、皮をオフ。このひと手間で、お客さまがつかみやすく食べやすくなるそう。最後に、はしの骨を切り落として仕上げます。
<むね肉>
真ん中で等分にし、さらに等分にします。そして、スジ、内臓、はじの脂を切っていきます。
細かな仕事なので、「こそいでいるけれど……うっかり切り落としちゃいそうだぁー(汗)」と学生たちも慎重に進めていきます。
最後に、プレートに赤ワインとシェリー酒のフライドポテト、フォアグラのソースとサルミソースを添えてできあがり!
<試食タイム♪>
調理の後は、お待ちかねの試食タイム!
学生たちは「もうちょっと火を入れればよかったね!」「皮目をパリっと焼き上げたかった」など、火入れの難しさをかみしめていました。
その一方で
「お肉がロゼ(赤い)で食べるまでは不安でしたが、とてもおいしかった!」
「赤いサルミソースのほうが、ブドウ感が強くて好きす」
「ジビエは初めてですが、獣感もあまりなくて、とてもおしいい」
と鳩を始めて口にする学生も、ソースとの相性や、肉の滋味深いおいしさを感じられたようです♪
大槻シェフに、就職をひかえた学生たちへのメッセージをうかがうと……
「最初に入ったお店は3年働けば立派。まず、お店に入る前に、その店の中に入って細かなところを見たほうがいいですね。
そして、あらゆる可能性が起こるであろうと想定して、それぞれに対して『ほら、きた!』と思えるくらい予想をしておくことが大事。例えば、ある先輩が自分にだけ厳しいなら、なぜか?どう対処するのか。入社してすぐに思うような仕事ができないのは当たり前。そのとき、どうするのかを考えておくこと。
履歴書では、信頼を勝ち得ることが大切です。すぐにやめてしまったら、どこにいっても定着しないと見られてしまいますから」と、温かくも鋭いアドバイスが。
また、授業終了後も「どのようにメニューを発想しますか?」という学生の質問に、「気にするべきは、酸味と油です」と具体例をまじえて丁寧に教えてくださいました!
料理の世界で、信念をもって自分の道を邁進するシェフ。その圧倒的な熱量に、学生たちも触発されたはず!
大槻シェフ、お忙しいところありがとうございました!
※1 野鳥のガラなどにワインを加えて煮詰めて、その漉し汁にドゥミグラスを加えるなどして煮詰めた汁をバターでつなぐ濃厚なソースのこと。