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2019.03.18東京
授業/特別講師/講演会
「Assiette (アシェット)は、簡単に言うと皿という意味です。僕たちがアシェットというときは、Assiette Dessert、つまり皿盛りのデザートをさします」と、話す鎧塚 俊彦シェフ。
今回は、自社農園で栽培・製造したエクアドルショコラを使った皿盛りデザートを学びます。
「うま味、香り、酸味を感じて。今回使っている”エクアドルショコラ”はいちばん本来のカカオに近い味わい。これを食べると普通のカカオには戻れません」と、鎧塚シェフ。
<こだわりのFarm to Bar>
鎧塚シェフは、2010年にエクアドルにカカオ農園を設立。栽培から製品化までを、自社で一貫して行っています。
この、農園からテーブルまでの取り組みは、世界的にもとても珍しく日本では「トシ・ヨロイヅカ」のみ行なっております。
鎧塚シェフ 「”エクアドルショコラ”はカカオ分が80%と高く、市販のクーベルチュール(※1)より粒子が粗い為扱いにくい。このため、スピーディさと湿度管理がとても重要になります」
レコールバンタンでは、『一人一製作』を大切にしています。
まず、シェフのデモンストレーションをしっかりと見て、手順を学びます。
その後、すぐに実習に取りかかります。仕込みから仕上げまで責任を持って取り組むことができます。
そして、完成した鎧塚シェフの作品はこちら!
シェフのデモンストレーションを学んだ後は、いよいよ、学生たちも実習スタートです!
最初に作るのは、”エクアドルショコラ”を使ったムースグラッセ(ムースを凍結させたアイスクリーム)。
湯煎したチョコレートに、生クリームを合わせようとする学生を見て、鎧塚シェフは……「慎重に!ボールは、それで大丈夫?混ぜることを考えると小さいのでは」と、手順の先の先を読みながら動くように、と諭します。
飾り付けで使うのは、バナナ。その理由は……?
鎧塚シェフ 「”エクアドルショコラ”とバナナはめちゃくちゃ相性がいいです。農園にも、カカオの木と一緒にバナナの木を植えています。
理由はバナナの木が影を作り、風を防いでくれる役割を担うから。また、バナナ、チョコレートコーヒーも同じ気候条件で育つため、この3つはとても合うんです」
<食材のマリアージュの考え方>
バナナに、粉糖をまぶしてバーナーで炙ります。話題は、食材と食材の組み合わせの黄金律について……
鎧塚シェフ 「師であるジャン=ピエール・ブルノーシェフは、狩猟をしていました。彼いわく『その動物を撃ったときに、同じ時期に実っているもの、生息している場所になっているものはそのジビエと相性がいい』と言っていました。なるほど!と思ったのを今でも覚えています」と、振り返ります。こうした何気ない話にも、発想のヒントが隠れています。
<飴細工にもチャレンジ!>
盛りつけに華を添えるのが、繊細な飴細工。糸状の飴を作るためには……
鎧塚シェフ 「飴の固さがシャバ過ぎると、うまく糸をひきません。トロッとするくらいの粘度が理想」
スピード感が求められます。また、糸飴を触ってみて「熱をもっていて、予想以上に熱いですね」と、扱いにくさについても実感。
<最後はスプーン切りの練習>
最後は、お皿に生クリームなどを盛りつける『スプーン切り』を練習。
2本のスプーンを使って丸を整形する方法もありますが、メジャーなのは手の平でスプーンの底を温めてスッとお皿に落とす方法なのだそう。
技術を間近で見た後は、いよいよ盛りつけに入ります。
鎧塚シェフ 「アイスクリームをどこに置くか、全体を考えて盛りつけてくださいね!」と、声をかけるシェフ。
学生たちのデコレーションをチェックして「すごくセンスのいい人と、イマイチな人(笑)いろいろいるなー!」と笑います。
また、「しっくりこないときは、思い切って引いたほうがいいぞ」と助言。
でき上がった学生たちのアシェットデセールがこちら!
ムースグラッセや、エクアドルのアイスを主役に、シュー生地や糸飴を添えた豪華な一皿に仕上がりました。
カカオ本来のおいしさを、存分に感じられたようです。
※1 ケーキなど製菓の仕上げ等に使われる、油分や精製度の高いチョコレート