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2020.08.03東京
授業/特別講師/講演会
「魚について語ると長くなり過ぎちゃうので、今回は基礎を重点的にお伝えしますね!」
と、フレンドリーに話すのは恵比寿の人気イタリアン「sel sal sale」濱口昌大シェフ。
今回学ぶのは、魚の捌き方。というのも……
「現場に入る前の技術として、是非学んでおいてほしい。
ウチに入ってきた新人のコも、専門学校で2年学んでいたけれども、魚には触れていないそうなんです。」
<鮮度のいい魚の見分け方は?>
「まずは、目を見ます。鮮度が落ちているとくすんでいたり、濁っていたりします。あとはエラを見てください。
エラには血管が集中しているから、ツヤがあれば鮮度がいい証拠。腹のハリもチェックして。」
目視だけでなく、魚の口を開けて匂いを嗅ぐという方法も。
「ただし、このやり方は市場ではしてはいけません。ですが、こうして匂いを嗅ぐことで内臓の香りを探ることができます。
また、内臓からの匂いは調理のヒントにもなります。
例えば、パセリのような匂いがしたらセルフィーユを合わせたらいいかも、というアイデアが生まれますね。」
<特に、傷みやすい部分は?>
「今日のアジは氷水の中に保存されているけれど、正直なところ、あんまりいい保存法とは言えません。
魚の身がギュッと硬直してしまって、ゆるまないから。
保存するには、神経締めがいいです。神経締めにすることで、魚の死後硬直が始まる時間を遅らせることができる。
そうすると、その分だけ鮮度を長持ちさせる事ができるんです。」
頭を切り落とし、傷みやすい内臓、血合いを取りのぞきます。
ペーパーで巻いてドリップ(魚から出る水分)が出ないようにします。
「包丁を入れる時は真っすぐにいれるのではなく、刃先を斜めにしてグッと入れるイメージで!」
<三枚おろしをする>
- 浮袋の部分に包丁を入れます。
- 流水でよく洗い流します。
- 水気を取ります。
「この時、できるだけ魚の身に触れないようにして。
手の温度は35~36℃なので、触れると魚の脂が溶けてしまいます。」
- アジの頭を利き手と反対側にセットし、ゼイゴ(※1)を取り除きます。尾から腹にかけて、
- 包丁を少し上向きにしながらスライドしていきます。
- 裏返し、逆側のゼイゴも取ります。
- 「腹→背→背→腹」の順に包丁を水平に入れます。
まずは「腹→背」。手前の腹側に包丁を入れ、上下を返して背側から身を切り離します。
「ゼイゴを取る時と一緒。包丁を小刻みにスライドさせていくとやりやすいです。」
- 反対側の片身も同様に行います。背を手前にしてアジを置き、背側からおろしたのち、上下を返して腹側をおろします
「本質は、身を傷めずに三枚におろすことです。身が割れてしまったら、刺身とかには使えないからね。」
講師のデモンストレーションを見た後は、いよいよ調理に入ります。
今回は一人、3~4枚のアジをおろせることに。
みんな真剣に取り組んでいて、教室は無音に……。
「いつにない集中力だね~!」と、濱口講師からツッコミが入るほどでした。
中には、手慣れた様子でテキパキと進める学生も。
「YouTubeで魚を捌く動画をよく見ているんです。気軽に見れて、学べるので楽しいです。」
「俺らの時は、魚屋さんに見に行っていたよ!」と、濱口講師。
進みが早い学生には「骨抜きピンセット」で、残った骨を取るように促します。
「魚を処理する時に大事なのは、手早さと清潔さ!どこに何を置けば作業効率がよくなるかを常に考えて!」
<アジのなめろう、ご飯、お味噌汁の仕込み>
今回の授業は丁度ランチの時間。ということで、捌いたアジを使ったなめろう、ご飯、お味噌汁のランチを作ります♪
「ネギはみじん切りにしていきます。まず蛇腹みたいに切れ目を入れていって。
この時、包丁をまな板に対して45℃くらいに入れることで完全には切らないようにします。
ネギを裏返して、同じように切り込みを入れていくとみじん切りになります。
ネギは、青い部分も白い部分も両方使ってください。」
「次にお米を洗いますね。
まずは、洗米の基本から。ボールに水を入れたら、10秒以内にその水を捨てること!
研ぐ時は、ざるに入れてガーッと研ぐのはダメです。粒が割れてしまうので。」
浸水時間は、古米か新米か、また季節によっても変わります。基本は
「お米に対して、水を1.2倍加えるのを目安にして。水と米を入れた鍋は、火にかけます。
沸いたら一回かき混ぜます。それから蓋をして超弱火で13分くらいかな。
最後の5秒くらいは強火にして、一度蓋を開けてから蒸らすのがポイントです。」
あじの身を叩く時に、塩を入れていきます。なめろうに使うのは、ネギ、生姜、大葉、ゴマなどの薬味をお好みで、
味噌や醤油を適量入れ味付けします。
「魚をおろせるだけで、現場でめっちゃ重宝されるよ。普遍的な技術だからこそ、自分の武器になります。
上達したいなら、自分よりも上手な人を見たり、1日50匹魚をおろせばいい。この調子で頑張って!」
と、学生たちを鼓舞しました。
今は、漁師さんから直接魚を買うことも可能な時代。ぜひ、色々な種類の魚をさばいて技術に磨きをかけていってください!
※1ゼイゴ……尾近くにあるとげ状のウロコのこと