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2023.12.05東京
授業/特別講師/講演会
レコールバンタンでは在学中から、プロフェッショナル講師による実践的授業を行っています。
今回、在校生(以下メンバーと表記します)に教えてくださるのは、サザコーヒー安 優希バリスタ!
安 優希講師は、ジャパン バリスタ チャンピオンシップ(以下JBC)にて2017年予選通過、2018年 4位、20
19年 4位、2022年 2位を果たしています。
現在は、本店をメインにエリア人員のフォローを担当されています。
- サザコーヒー 安 優希バリスタPROFILE>
「2015年に専門学校を卒業し、サザコーヒーに入社しました。入社と同年に、JBCへ出場しています。
コミュニケーションを取りながら進めていけたらと思いますので、どんどん質問してください!」と、ご挨拶。
- ジャパン バリスタ チャンピオンシップ (JBC)とは?>
安講師(以下、同)「JBCは日本で、最も権威のある大会です。
優勝者は、世界大会『World Barista Championship(WBC)』へ日本代表として参加します。
準決勝・決勝は、15分間という限られた時間内で『エスプレッソ』、『ミルクビバレッジ』、『シグニチャービバレッジ』の3種を提供します。
ミルクビバレッジとは、カフェラテのことです。
また、味覚評価だけでなく、作業内容の一貫性、正確性、適切性なども評価されます」と解説。
また、チャンピオンに求められるものとして……
・熟練した技術的な技能、クラフトマンシップ
・接客面でのコミュニケーション能力やサービススキル、パッション
・競技中のコーヒー提供を超えた、コーヒーへの幅広い知識、広範囲な理解
が挙げられます!
- Espresso の評価項目は?>
「では、大会でどういったエスプレッソが美味しいとされているか。
評価項目をチェックしていきましょう。
- 『クレマ』:なめらかでツヤがあるか?クレマが消えていないか?
- テイスト描写の適格さ:淹れる前に、テイストを宣言する必要があります。
- 例えば、『オレンジの味を目指します』と宣言したら、オレンジの味わいがしなくてはなりません。
- また、オレンジの中でも、バレンシアオレンジなのか、ブラッドオレンジなのか、グレープフルーツのピンクなのか、
- より細かい表現をし、宣言に即した味わいであればあるほど高得点が狙えます!
- フルーティさ、ナッツのようなといった表現は、スペシャルティコーヒーに準じたポジティブな評価です。
- タクタイル描写の的確さ:厚みやテクスチャーを比較検討します。
-
- テイストエクスペリエンス:甘み、酸味、苦みのバランスはどうでしょうか。ネガティブな要素はないでしょうか?
審査員の方々は、これらすべての項目をチェックしています」
- エスプレッソを抽出する>
続いては、エスプレッソ抽出から提供までの技術面。「Technical」の評価について。
「ドーシング/グラインド時に、無駄はありませんか?
各カテゴリーで1gまでの無駄であれば許容範囲内、高い得点がのぞめます。
フィルターバスケットには、一切の粉を残さないよう徹底的に拭きましょう」
- 「リング」というツールを用います。これによりグラインドしたコーヒー豆が均一に。
- さらに「コーム」を使い、ダマをとります。
- 安講師「こうした道具は『ディストリビューションツール』と呼ばれます。非常に有効ですので、オススメです!」
- タンピングを行います。
- フィルターバスケットをセットし、抽出します。
「抽出時間についても意識しましょう。左右の抽出差は、3.0秒以内になっているでしょうか?」
今回は、「パナマ エスメラルダ農園 ゲイシャ種 ナチュラル」を使いました!
安講師「道具を元の場所に戻し、リズミカルで無駄な動きがないことも重要です!大会に勝とうと思うと良質な豆が必要になります。
また、ディストリビューションツールも新しいものがドンドン発売されるので、正直なところ、準備段階の出費は大変です」と明かします。
実際に、安講師が淹れたエスプレッソを飲んだメンバーの感想は?
「フレッシュフルーツのような印象がありました!」「酸味が強くブラッドオレンジを感じ、その後にチョコレートのコクも感じました」
「グレープのようなサッパリした味わいでした。こんなにサッパリしたエスプレッソを飲むのは初めてです!」と、テイストを表現し合いました。
安講師「ゲイシャらしさは抽出できていたのかなと思います。試飲するときは、3回混ぜて1口目でクレマの印象、
2口目で液体の印象を考えましょう。マウスフィールは、ミディアムローでなめらか。
フィニッシュは、グレープフルーツ、キャラメル、チョコレートなどではないかなと思います」
- ミルクビバレッジの味覚評価項目とは?>
続いては、ミルクビバレッジの評価項目を学びます。
- 外観的な魅力:シャイニー/コントラスト/シンメトリーが大きな判断基準
- テイスト描写の的確さ:宣言と一致しているか?
- テイストエクスペリエンス:テクスチャーや温度、ミルクとの調和・バランス
「また、新ルールとして、牛乳だけでなく、市販の無糖・加糖ミルクが使用可能になりました。
香りづけされていないタイプであればOKです。動物性ミルク、ココナッツミルク、アーモンドミルク、
オーツミルクといった植物性ミルクも使うことができます」と解説します。
早速、ミルクビバレッジをいれていきます。
「大会に出場するなら、手が震えないことも大事です。大勢の審査員が見ていると、
緊張しますが、作業性・効率性を保つことが必要です。
また、スチームミルクの泡は多くも少なくも自由自在にコントロールできるスキルがあると重宝します」とアドバイス。
安講師のデモンストレーションを見た後に、エスプレッソ20gに対してスチームミルク何gであると、「美味しい」と感じるのか?
チームごとに分かれてレシピを考え、目指すテイスト&テクスチャーを言語化しました。
ここで、安講師に質問。
――― ジャパン バリスタ チャンピオンシップ2023出場の際、どのような準備をされましたか。
安講師「サザコーヒーには、大会と同じ機種のエスプレッソマシーン、
同じサイズのテーブルがあります。
なので、本番数日前に、『社内お披露目会』を行い、競技を想定して審査していただきました。
社内に、セミファイナリストがいらっしゃるので貴重なアドバイスをいただきました。
1人で練習していると自分自身のムダな動きに気付けず、タイムキープするのも大変です。
また、牛乳の計量や、練習で出るカップを洗ってくださる『サポーター』さんを会社がつけてくださるなど、
練習をバックアップしてくださいました。とても恵まれた環境だと思いますし、練習に集中できる職場です」とコメント。
就職活動の際には、希望企業が大会への出場に理解があるかどうかも、知っておくと良さそうです!
また、授業では、食品から感じられる香りや味の特徴を、
類似性や専門性を考慮し円状&層状に並べた「フレーバーホイール」が、配布されました。
飲食業界で活躍したいメンバーにとって、一回一回の食事・ドリンクが、味覚・香りのライブラリーを作ります。
安講師が淹れてくださったエスプレッソ、ミルクビバレッジの味わいを記憶し、
今後コーヒーを飲むときは、ぜひ、頭の中で、テイストやテクスチャーを言語化していってくださいね!
安講師、貴重なアドバイスをありがとうございました!
SAZA COFFEE
@sazacoffee